バリデーション療法がもたらす効果

バリデーション療法を行うと、よい効果を生みだすと言われています。認知症の方は介護する人に共感してもらったり、負の感情を表に出したりすることによって、ストレスの軽減に繋がるからです。不安を口に出せること、それを相手に理解してもらえるため、心のうちに抱え込んでいた不安を解消する効果も期待できます。

また、バリデーション療法を用いると、認知症の方の摂食障害や排泄問題、BPSDが緩和するとも言われています。本人が失っていた自尊心をとり戻す手助けにもなり、前向きに生きることに繋がるようです。生きる希望を得ることができれば、他の人との交流を積極的に行うようになり、認知症を患っていても楽しく生きられる可能性は増すでしょう。

ちなみに、バリデーション療法の効果を感じられるのは、認知症の方に対してだけではありません。介護職や認知症の方の家族にとっても良い効果が期待できます。共感したり、受容したりする姿勢で認知症の人に接すると、認知症の方と深い信頼関係を築きあげることができます。しかも、そのことは介護する側の自信にも繋がるので、介護することによって生じる怒りや悲しみ、フラストレーションも緩和されるはずです。

バリデーション療法を取り入れると、認知症の方の怒りや悲しみなどのネガティブな感情が薄れ、生きることに楽しみや興味が持てるようになる可能性が高まります。生活への満足度を上げることができれば、それは本人だけでなく、介護する人の心にも余裕や平穏をもたらすでしょう。